高校の生物の授業で聞いた動物の行動について、まとめてみようと思ったので。生得的な行動や習得された行動などについて、鳥のとる具体的な行動例を書きました。聞いたことのある言葉もあったんですが、授業で聞くと基礎的なところからわかるのでいいですね。
生得的な行動とは、生まれつき備わっている行動パターンのこと。
渡りも生得的な行動と言われます。人工的に孵化された鳥でも、渡りの方向を選び、渡りをしたことがない若鳥が親鳥たちが渡った後に話されても、正確な方向・距離を飛ぼうとするという(「動物の移動」(1974))。
飛ぶことを学習できない状況で育てられたハトと正常に飛ぶことを学習した同年輩のハトを一緒に放ったとき、どちらも正常にとんだという(「動物の移動」(1978))。ただ、上達するのに学習が不要というわけではない。
信号刺激とは、ある反応や行動を起こす刺激のこと。鍵刺激とも言う。
セグロカモメの嘴の赤い斑点は、セグロカモメの雛にとって信号刺激となる。この刺激によって雛は斑点を突くこと。これによって親鳥は給餌反応を起こす。
また、この信号刺激は、嘴が細く、色彩の対比が強いほど(黒の地に白の斑点など)雛は反応を示すという。
ユリカモメの雛は、生まれてから何も見ていない状態にしても、成長の赤い嘴という信号刺激に最も強く反応する。これは親鳥の嘴の色が生まれつき備わっていたといえる。(「動物の移動」(1978))
親鳥にとって給餌反応を起こす信号刺激である。カッコウのように、自分で雛を育てずに他の鳥の巣に卵を産みつけて(托卵という)、その巣の中で育つ鳥に托卵された鳥(宿主)が給餌するのは、カッコウの雛の、他の雛より大きな口に反応しているからである。
また、大きく口を開くという信号刺激であれば、魚であっても口に食べ物を詰め込む。(「動物の移動」(1978))
産まれたばかりの目が見えない鳴禽類は巣の揺れのような刺激に反応して、首を真上に伸ばして口を開ける。目が見えるようになってからは、巣の上にあるものなら指などのような信号にも反応して口を開ける。(「動物の行動」(1978))
自然ではありえないような刺激にも反応を示す。例えば、セグロカモメは普通より何倍も大きい木製の卵も抱こうとする。色々な形や大きさをテストした結果、斑点があって、丸く大きい卵を好むという。(「動物の行動」(1978)
習得された行動とは、生まれた後に経験を通じて習得する行動のこと。学習(慣れ、刷り込み、試行錯誤)や知能行動、条件反射がある。
キジ類やニワトリなどの雛は、頭上で動くものが現れると、身をかがめ、警戒する行動をとる。これは、生得的な行動といえるが、同じようなものを何度か見ると、反応しなくなる。これが慣れである。
雛はタカのような敵が頭上に来たときには、かがむが、これは危険か危険でないかを見分けているというわけではなく、タカなどを見ることが滅多にないからだという。(「動物の行動」(1978))。
孵化した後に見たものにだけついていく行動のこと。本来の親鳥にも従わなくなる習得された行動であるが、生得的な要素もある。
さえずりは生得的なものでもあるが、大部分は学習によって向上したものである。
隔離されて、仲間の鳴き声を聞かなかったヒワは、種の特有のリズムを持ちながらも、正常とは異なる独特なさえずりをする。(「動物の行動」(1978))